わき役キャラは自由になりたい

　『アリス・イン・デッドマンズワールド』
　ざっくり中身を説明すると、主人公のアリスが仲間と一緒にゾンビを倒しまくる、人気ゲームが原作の長編フルCGアニメ映画。
　評論家には酷評されながらも、原作勢を中心としたファンからの熱狂的支持を得て、公開から10年以上たった今でも、動画配信サービスの再生数は、毎年そこそこ上位に入ってくる。
　なんで、こんな話をするのかって？
　それは……。

　ここは動画配信サイト。
　プラットフォームNo1928、『アリス・イン・デッドマンズワールド』。

「あたしってさー、中盤までそこそこ強キャラじゃん。なのに”全部倒せた？”からのゾンビ化で最期はアリスにブッ倒されるわけよ。とりあえずアリス以外の強い女オリキャラだしときゃいい、みたいなテキトーな男女平等いらねーっつーの！」
　あたしの名前はミラ。
　主人公のアリスと行動を共にする特殊部隊のメンバーで、原作ゲームには出てこないオリジナルキャラクター。
　物語の中盤まで見せ場のアクションシーンが多いけど、死亡フラグを口にした途端、背後に現れたゾンビに噛まれて、アリスに蜂の巣にされて退治される役どころ。

「ああ、死亡フラグってやつですね。自分の場合、“ここは俺に任せて、先に行け！”ですからね。挙げ句レーザーでサイコロステーキにされて退場とか、やってられませんよ」
　彼は“隊長”。あたしが所属する特殊部隊の隊長。
　物語の序盤、ゾンビたちの巣である研究所に乗り込む場面で、仲間を逃がし、ひとりゾンビに応戦するも、起動した警備装置のレーザーに細切れにされて死亡する。