20人が本棚に入れています
本棚に追加
第一話 ラッシーと僕の、のら猫捕獲大作戦!
「犬を飼おう」という話が持ち上がったのは僕が中学生の頃のことでした。飼うことになったきっかけは、小学生の弟が「犬を飼いたい」と駄々をこねたためです。
弟は誓いました。「毎日ご飯の準備するから、ちゃんと散歩に連れてくから」(けれどお察しの通り、その誓いが守られることはありませんでしたが)
とはいえ、その時の住まいは田舎で、近所には犬を飼っている家が多かったため、満場一致で可決となりました。「よし、犬を飼おう!」
地域の広報誌で「子犬・子猫飼いたい方募集」のコーナーがあったので、厳選に厳選を重ね、雑種の仔犬を1匹いただきました。
親がバイクの後ろにダンボール箱を乗せ連れてきました。箱を開いてみると、頭と尻が黒くてしっぽが白い、まさに「尾も白い――面白い」模様の犬でした。
「ラッシー」と名付けられたその犬(♀)は、そこそこ大きくなるはずなので、外で飼うことになりました。
連れてきてしばらくは、ダンボールの中に入っていた匂いのついた布切れ一枚を心の拠り所にして、犬小屋の中でくんくんしていました。
あまり元気がなさそうに思いましたが、ご飯はよく食べるようでした。
朝ごはんはすぐに食べるのですが、夕ごはんはもったいつけているのか、すぐには食べないようです。けれど、しばらくしてから見てみると、綺麗に平らげられていました。
しかし、そこにはとある事情があったのです。ある日、衝撃の事実が明らかになりました。
夕食をあげる時間、庭の草むらの中には数匹の野良猫が待ち構えていました。
餌が庭に出された後、人間の姿が見えなくなると、猫は寄ってたかってラッシーを威嚇しました。
「ミュオウアオー!!(猫をなめんなよ、この犬っころが! 飯よこしやがれ!」とのことです。
ビビったラッシーは尻尾を丸めて犬小屋の中におずおずと戻っていきます。
野良猫たちはラッシーのご飯をむしゃむしゃと食べ始めてしまいました。
お腹が膨れて満足した猫が去っていきました。
その後、ラッシーは犬小屋から出てきて、ほとんど空になった皿をぺろぺろと舐め始めました。
僕はその一部始終をカーテンの隙間から眺め、あっけにとられていました。
その事実に気づいてしまったので、それ以来、人間の目があるところで食事をとらせるようにしました。
そしてラッシーはすくすくと成長しました。猫へのトラウマを胸に抱えたままで。
そのトラウマが後に、猫に対する大きな恨みとなって膨れ上がり、さまざまなドラマを引き起こします。
そして大きく成長したラッシーが、野良猫に復讐を果たす時がやってきました。
最初のコメントを投稿しよう!