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ーAー
夏織。それが私の名前だ。布を織りなすように人と人を繋いでいく。父が名付けてくれたのだと、母が話してくれた。私は父の顔を知らない。顔も朧げだ。人にこの話をすると皆涙ぐむ。でも、なぜそんなに人のことで涙を流せるのだろう。私にはそれが理解できない。
ーBー
「旅に出ると、幸せになれるのよ」
'まーちゃん'はそういった。その時のまーちゃんの満面の笑みを、そしてその後の表情も僕の目に焼き付いている。しかし、僕はまーちゃんが見せた表情に今でも納得がいかない。そして一年後、まーちゃんは家を出ていった。
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