18話目

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「お前は何者なんだよ、一体!」私が絶叫すると、カエラはDVに怯える子供のように体を小さく丸めた。 「善さんが編集部に入り込めたんで、僕も探偵という名目で善さん経由で入り込んだんですよ。あの頃からずっと僕たちは計画を練っていたんです」 「狂ってるよ、お前」 「狂っているのは先生も一緒ですよ。人の作品を奪い取っておいて」 「あれは大村さんが持ち込んだ原作を漫画にしただけだろ。俺に悪意なんてない!」 「悪意がなくても罪は罪です。償ってもらいます」 「何を求めているんだよ」 「先生は何もしなくていいです。善さんが、いや佐藤が今から明日香先生を殺します」 「ママは関係ないでしょ!」カエラが割って入った。 「関係無くはないですよ。ロイ先生がすなっふ倶楽部を連載していた時のアシスタントが明日香先生なんですから、間接的に関与しています」 「な、なんで十年以上も時間を掛けて復讐するんだ? やるならもっと早くにできただろ」 「そんなの私の自由です。先生は子羊の肉が好きなんですか? 僕は時間を掛けて太らされた肉が臭くて好きなんですよ」 「お願いだから、ママに手を出さないで」カエラが涙声で懇願した。 「もう手遅れかも。善さんは仕事が早いんですよ」
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