一人の鬼と二人の聖女

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私は急ぎでショッピングモールの外へと飛び出し、マスターから送られてきた ナビを頼りに物資運搬用の高架の道路へと駆け出した。 そこから私は周囲に無数に散在する光子(フォトン)を自分の体に集めて足下で一気に起爆する。 するとすさまじい爆風が私の体を襲うが、車もかくやの勢いで弾丸となって飛んでいく。 光子(フォトン)とは大気中に散在するアークスの中でも解明の進んでない謎のエネルギーだ。それを体内に取り込み操作することで今回のように爆風を起こしたり、逆に凍らせたり。体の動きを活性化して攻撃に転換したりと幅広く用いることができる応用性の高さがポイントだ。 代々・・とはいってもアークスの歴史はそこまで長いものでもないが、アークスはフォトンを用いることでアークスの敵であるエネミーと戦い続けているのである。 また、今回現れた【ダーカー】はフォトンでないと絶命させることができず、 それ故にフォトンを扱える者は皆研修の後アークスとなるのだ。 爆風を何度も引き起こしながら周囲に群がってこようとするダーカーたちの間をすり抜けるように超高速の弾丸となった私はほどなくして指示された 北西地区の工業地帯に足を踏み入れ惨状を目撃した。 小型から中型までのダーカーがざっと100匹以上。 これでほかのアークスがまだ到着してない状態なら程なくしてここの工業地帯はダーカーによって汚染される。 ダーカーとは【ダークファルス】と呼ばれる親玉から生み出される眷属の総称で、その特性は非常に厄介で彼らが存在し暴れた地区は土壌というよりも星が汚染されて行ってしまうのだ。 そう。だからこそ彼女はここに派遣されたのだ。 『人の目につかず、敵の数が圧倒的に多いこの場所へ。』 私は端末を操作し、一本の武器を取り出す。 その名は【ブリューナク】彼女の愛槍だ。 「マスター、この数なら一発なら打ち込んでOKよね。」 私はマスターへと通信を試みる。 「なぜだか知らないが幸い敵は固まっている。撃つなら今しかないだろう。」 「OK。じゃあ起動するからね。ーーーsystem起動!」 そして彼女は周囲のフォトン量が一瞬で希薄になる量のフォトンを吸引し体に流し込み、それを体と槍に纏わせた。 これは『特異体質』である彼女のみが使える大技。 「『system:鬼神』ーー破滅の説法!!」 その一言ともに高架橋から放たれた一撃は音速をはるかに超え、莫大な質量となってダーカーの群れに襲い掛かる。 まるで神からの叱責を受けたかのようにその槍に触れたダーカーは音も残さず消し飛ぶ。 そしてその槍がダーカーの群れに襲い掛かったとき、大爆発とともにダーカーは消滅するはずだったが、『結果としてそうはならなかった。』 確かに槍は群れにめがけて飛んで行ったが着弾する寸前に『本来着弾する場所』が大爆発を起こし、彼女の放った槍は彼女の元に勢いよく飛んで戻ってきたのである。
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