③僕は断固として拒否したい

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③僕は断固として拒否したい

 ……話がながい。思いつくままにに書くからこうなるのだ。反省だ。反省をしないといけない。「こいつ脱線ばかりしやがって! はやく本題に入りやがれ」という読者の皆さまの心の声が聞こえてくる!  すみません、手短に終えてはやく本題に入りますので、もう少々お付き合いください。  さて、そんなMMORPG。自由な世界観とは裏腹に、とんでもない闇を抱えているのも事実である。仮想空間だからこその闇。当然のことながらプレイヤーの素性がすべて不明なのである。性別、年齢、出身地、ありとあらゆる個人情報が不明。まさにブラックボックスである。  ある程度の会話内容や言葉のくせでわかりそうなものだが、これが意外とわからない。キャラクターという仮面を被っているせいか、おそらくツイッターなどのSNS以上に本当のことは判別不可能な気がする。  実際、これからたくさん語っていくことになるし、まさにこのエッセイの本題でもあるのだが、筆者自身もこの仮想空間において性別を偽り、見事なまでに完璧な女の子に擬態した。  いわゆる、ネカマである。  ……いや、待て。すこし待ってほしい。いま、読者の皆さまがドン引きする気配を感じた。なんか、そんな雰囲気というか音というか、そんなものを感じた。  ほ、本当に待ってほしい。なんだか、ひどく語弊がある。そもそもネカマという言葉じりが悪い。なんだこの言葉。ジェンダーフリーが叫ばれる昨今において、あまりに不適切な言葉じゃないか。差別用語だ! 筆者は断固としてこの言葉を拒否したい。人聞きが悪いにもほどがある。  ぜひとも、まずは話を聞いてほしい。そ、そうだ。世の中には「能動的ネカマ」と「受動的ネカマ」が存在する。「よし、女の子のふりをしてやるぞ、へへへ」とふしだらな笑みを浮かべ画面を操作する輩と、なし崩し的にそうなってしまった哀れな男とでは天と地ほどの違いがあるのである。  実際に先程、すこしネットを調べたら「ネカマの心理」としてとんでもないことが書かれていたりした。「女性になりたい」、「男性を騙すことに快感を覚える」、「ちやほやされたい」、「女性と距離を詰めたい」などなど……ひ、人聞きが悪いのである!  これらはすべて「能動的ネカマ」にあたる心理であろうし……と言うよりこれはもはや詐欺の領域である。犯罪一歩手前の領域に踏み込んでいる気がする。  断じて、違うのである! 「受動的ネカマ」にはやむにやまれぬ事情があるのである。そのあたりをぜひとも聞いていただきたいのである! 変態扱い、犯罪者扱いは嫌なのである!  さあ、たいへんお待たせいたしました。これより語ってまいりましょう。人気MMORPG「ユグドラシル」に降臨した一輪の花。自称トップアイドルプレイヤー、AYAKAの正体。その誕生秘話と日々の苦悩、そして長きに渡る後悔を──。 「だから僕は女の子を辞めた」  開幕です!(まだ開幕してなかったんかい、というツッコミが聞こえる。汗)
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