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まえがき
僕が女の子としてあの仮想世界を生きていたのは、いまからおよそ五年ほど前のこと。
高校生のときにすこし遊んだ人気MMORPG「ユグドラシル」のスマホ移植版がリリースされ、それを興味本位でプレイしはじめたのがすべてのはじまり。
ささいなきっかけでついたちいさな嘘は、雪だるま式に膨れ上がっていき、やがて取り返しのつかない事態にまで発展していった──。
ここに記すのは僕が仮想世界のなかで過ごした、嘘にまみれた大切な日々の記憶。あの日、あのとき、偽りだらけの生活のなかでも、かけがえのない仲間たちとの友情が確かに存在した。それだけが、あの世界におけるただ一つのリアルだった。
だから僕は女の子を辞めた
(※このエッセイは事実をもとにしておりますが、作者の曖昧な記憶を補うために再構成している箇所やわかりやすくするために脚色している箇所が一部、存在します。また、登場する作品名や人物の名前・設定などはプライバシー保護などの観点より、多少変更しております。)
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