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魔王様の特別な一日!
『特別な日!』
魔王様のカレンダーには、はっきりくっきりそう書かれていた。ご丁寧に、日付にぐるぐると花丸をしてあるほどである。
魔王様の部下たちは顔を見合わせる。これ、一体何の記念日だろうか?
「魔王様の誕生日は来月だぞ?」
部下Aが言う。
「ということは、魔王軍が正式に結成された記念日とか?世界征服をするぞーと魔王軍を決起された日は特別扱いされていてもおかしくないが」
「それはなかろう。儂が知る限り、結成記念日は半年前じゃぞ」
古参の部下Bが首を横に振る。
「そもそも何かの記念日ならば、特別な日、などという言い方はせんのではないか?どちらかというと、何か特別な予定が入っている日である可能性が高いと儂は思うがのう」
それはそうかもしれない。
うんうん、と部下Cが頷いた。
「魔王様の奥さまの誕生日も終わったばかりだものね。なら、特別な人と会う約束をしているのかしら?まさか、不倫じゃないわよね?」
「魔王様に限ってそれはないだろ。この異世界から現実世界に本格的に攻め込む日が間近に控えてるんだぞ?勇者との決戦も近い。いくらなんでも不埒が過ぎる」
「でも最近、部屋にひきこもってなにやらぶつぶつとぼやいてらっしゃるわ。たくさん、謎めいた本をご購入なされているようだし、インターネットでも何か調べものをされているみたいよ?」
「それは、決戦を前に集中力を高めてらっしゃるのではないか?あるいは、作戦を考えているとか」
硬派でイケメン、みんなの憧れの魔王様。
一体何が特別な予定なのか。部下たちは気になってしょうがない。あんな美人な奥様がいるのに不倫なんかしてないだろう、とは思いたいが。
「こうなったら仕方ない!当日、魔王様の後を儂らでつけてみようではないか!」
「ええええ!?」
部下Bの鶴の一言で。三人はその日、魔王様の予定をこっそり確かめることになってしまったのだった。
そして。
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