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◇ ◇ ◇
【side紫苑】
彼―、白崎牙王くんが急に血を吐いた。だから私は救急車を呼ぼうとした。なのに。なのに、なのに。
白崎くんが急に体を抱き寄せたかと思えば、その勢いのままキスをされた。正確に言えば不意打ちされた、とでも言った方がいい。
「・・・」
「・・・ふぁ、む・・・・・・んっ!」
私の口の中に白崎くんのと思われる血が混じり込んだ。ごくんっ。思いっ切り飲み込んでしまった。
暖かい温もりが染み込んできたように感じた。なんでだろう、心做しか白崎くんの体温がいつも以上に私の体に流れ込んでくるような・・・・・・。
10秒程経ったのだろうか。やっと白崎くんが唇を開放してくれた。
あれ、なんか違和感が・・・。
「ところでさ、貴方はどこに向かって歩いているわけ?」
「俺ん家」
即答。しかも・・・!!
「なんで、寄りにも寄って貴方の家まで送らされているの!?」
「いやさー、どうせなら俺ん家で休んでいった方が善くない?」
そう言ってにやりっ、と顔を歪める。
「そっちの善くない?、じゃなくてあっちの良くない?、でしょ!漢字間違えないでよね」
「そういうことにしとくわ」
「なんで!」
ほんっとに白崎くんは嫌味な性格だ!!だけど・・・・・・、私が今までまともに話をしてきたのは、白崎くんだろう。
本当は男嫌いなこの私が―、こんなにも話ができたなんて・・・。
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