三章 天照大神の真実

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◇ ◇ ◇ 【side牙王】 この男がまるで、紫苑の事を知っているかのような話し声が聞こえた。 拙い。紫苑を助けないと駄目だ。動け、俺の手。動け、動け。動け動け動けぇ――。 何度も自分の手に命じてみるが、一向に動くことはなかった。 「そこまで答え合わせが出来たなら、もう良いよね?――☐☐☐☐様」 紫苑には誰の名前かは理解らなかっただろう。しかし、俺は聞こえてしまったんだ。 紫苑に対して向かって、(やつ)は言った―。 『』、と――。 は? 信じられなかった。だが、どう考えてもあれは紫苑に対して言った。間違いない。何故だ、紫苑は今まで黙っていたのか?俺に教えてくれなかったのか? 頭と胸の痛みが再度過ぎった。 この痛み、本当だったんだ。本当に、紫苑は天照大神の子孫―、いや天照大神本人なのか? どっちなんだ、教えてくれ紫苑。何でだ、何故だ、紫苑が天照大神なんて有り得るか? 紫苑が困っていた。多分、俺の顔が酷いんだろうか。 「天照大神様。今は眠っていて下さい」 奴は紫苑の首元に、軽く口付けをした。その途端紫苑は目を閉じ、深い眠りに就いてしまった。そして俺の体に刺さっていた聖剣魔を引き抜くとそれを腰に仕舞い、瞬間移動(テレポート)していった。 俺は、地に這い蹲ったまま、動くことはなかった。置いて行かれたんだ。
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