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◇ ◇ ◇
【side紫苑】
ゴォォォッ!
―――ここは何処?私は今何をしているのだろうか?何か風を揃っているような。
「ほん。もう御目覚めですかな、天照大神様」
「えっ・・・?」
その時、総てが自覚できた。
この先生、いやこの人は、既に私の事を知っていた。識っていたんだ。だから、私の存在がどれほど嵩かったのか。
識っていたの。
「・・・氷空?」
「そうです。あと1時間程で着きますよ」
「着くって・・・、何処なのっ!」
「・・・言っても良いんですか、ね。やっぱり言うと、貴女は逃げ出してしまうかもしれない、とか?」
「勿体振らないでさっさと言って!!」
「・・・・・・。『天神の部屋』ですよ」
―――、そこはっ。
「うっ・・・、くっ・・・。あ、あああああ。ぁぁあああああーーーーーっ!!!」
私は、自分でも分からない程の怒気の混もった発狂と、体の奥底から感じる熱い何かを今、全部吐き出した。
「なっ・・・!?これは・・・、素晴らしいぃっ・・・・・・。天照大神の記憶が蘇ったのか。なら、これならあの『AK実験』が叶うのも夢ではないっ!!」
「――A、K実験?」
「はい。天照大神様覚醒実験の略称です」
「私が覚醒なんてするの?」
意味が理解らない。もし、仮に私自身が覚醒したら、私の今までの記憶はどうなってしまうのか、私の存在はこれから知らない人たちと、過越して行くのか。
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