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着地すると、彼は言った。
「黒で何も視えない。仕方がないんです。だって―、」
「・・・・・・っ、!」
「此処は『天神の部屋』では無いからだ」
首を思いっ切り掴まれた。感情が高ぶっている所為か力が入り過ぎて痛い。
「あっ、ぐっ・・・、かっ、あっ・・・!」
喉が今すぐにでも潰れる痛さ。そして彼は腕を振り上げたかと謂えば、私ごとそのまま床に投げ付けた。
「ゴフッ!!」
口から血が大量に出た。頭を強く打ったからだろう。
「ゴホッ、ゴホッ・・・・・・、っ!」
流石のこの私でもこの人には敵わない。どう考えても力の差っていうか、腕の差が格段に違い過ぎるから。
「ゴフッ・・・、っがぁ・・・・・・あっ、」
掌が伸びてきて再び苦痛が過る。そしてそのまま奥にある寝台まで歩くと、掌を放した。
「痛っ・・・、ふぁっ」
私は尻餅をつくと直様体が勝手に動いた。
否、先生が私の体にまるでキスをするような態勢で抱き着いてきたのだ。
「貴女様はか弱いですね。“神”なのに、“姫”なのに、なんてこんなにもか弱いのかが不思議ですね。まあそれはそれで、面白いのでオッケーですが」
「な、何を言って」
「ふふっ。御安心を、天照大神様。今こうしているのは訳が有ってですね、――こういう風に」
直後、私の身体は凍り付いた。ましてや、凍り付かない方が余程可怪しい。
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