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「あっ、ごめんなさ・・・」
「うん?君、どっかで会ったっけ?」
この人!!顔分かんなかったけど、あの時のフードヤンキーだ!!うそ、なんでここにいるの!?
「あのっ、失礼ながら人違いです!!さよなら!!」
そう言って私は、全力疾走で階段を昇って行った。
「へぇ、・・・面白ぇじゃん」
彼がそう言っていたのを知らずに。
―――「ここが1−Ⅲの教室か」
緊張してきたけど、大丈夫。どうせ皆、私に眼中映らないようになっているんだから。
ガラッ!!
私は教室のドアを開けて座席を確認した。一ノ瀬だから、一番廊下側だ。
ポスッ、と座ってふと周りを見渡した。なんかやけに視線を感じるけど、気の所為、気の所為。
「なっ、あの子メッチャクチャ可愛いくね?」
「それなそれな。あー話してみてみたい」
「駄目だろお前。彼女に気安く話しかけれる者なんて、世界中どこを探したって見当たんねーよ」
などど、男子生徒のコソコソ話が聞こえてきたが、スルーした。
私、そこまで可愛いとも思ってなんかいない。寧ろ、ブサイクだとイメージがついているくらいだ。
まったく、他人を綺麗だの、可愛いだのなんだの勝手に決めつけないでほしいです。うーん。
そう悩んでいると、隣の席の椅子がガタッと動いた。
見るとそこには、さっきのフードヤンキーくんがいた。そう。この1−Ⅲというクラスに、一ノ瀬紫苑という席の隣に、あの彼がいた。
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