一章 入学式

2/9

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「あっ、ごめんなさ・・・」 「うん?君、どっかで会ったっけ?」 この人!!顔分かんなかったけど、あの時のフードヤンキーだ!!うそ、なんでここにいるの!? 「あのっ、失礼ながら人違いです!!さよなら!!」 そう言って私は、全力疾走で階段を昇って行った。 「へぇ、・・・面白ぇじゃん」 彼がそう言っていたのを知らずに。 ―――「ここが1−Ⅲの教室か」 緊張してきたけど、大丈夫。どうせ皆、私に眼中映らないようになっているんだから。 ガラッ!! 私は教室のドアを開けて座席を確認した。一ノ瀬だから、一番廊下側だ。 ポスッ、と座ってふと周りを見渡した。なんかやけに視線を感じるけど、気の所為、気の所為。 「なっ、あの子メッチャクチャ可愛いくね?」 「それなそれな。あー話してみてみたい」 「駄目だろお前。彼女に気安く話しかけれる者なんて、世界中どこを探したって見当たんねーよ」 などど、男子生徒のコソコソ話が聞こえてきたが、スルーした。 私、そこまで可愛いとも思ってなんかいない。寧ろ、ブサイクだとイメージがついているくらいだ。 まったく、他人を綺麗だの、可愛いだのなんだの勝手に決めつけないでほしいです。うーん。 そう悩んでいると、隣の席の椅子がガタッと動いた。 見るとそこには、さっきのフードヤンキーくんがいた。そう。この1−Ⅲというクラスに、一ノ瀬紫苑という席の隣に、あの彼がいた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加