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修司との恋はとっくに終わっていたのに、ようやくきちんとピリオドが打てた気がする。
なぜかタコ焼き器の話で!
それがおかしくて頬が緩んだら、「そんなもんなのかもな」と修司も小さく笑いを零した。
修司は過ちを犯したけど、謝って償ってくれた。「初ちゃんのために!」と言って【チーム初】の一員として動いてくれているのも、半分以上は私のためだろう。
だから今でも友だちでいられる。心から信頼できる大切な存在だ。
浮気が原因で別れたカップルなのに、こんな関係を築けた私たちはある意味幸せだと思う。
臼井ちゃん関連の話が終わったので、改めて【チーム初】のグループ通話をすることにした。
当然、今電話を切ったばかりの修司はすぐに参加してくれた。でも、千冬がなかなか来ない。
「どうしようか。あとで千冬からかけてもらう?」
「そうだな。この時間だと風呂に入ってるのかもしれない」
「は? なんで修司がそんなこと知ってるの?」
え、もしかしてもしかする?
ドキドキとワクワクが止まらない。修司が千冬と付き合っているんじゃないかと期待に胸が膨らんだ。
「いや、前に電話したときに千冬がそんな話をしてたから。……変な誤解するなよ?」
「なんだ。まだ付き合ってないの?」
「まだって何だよ? 千冬とはそんなんじゃない」
「そっか。……私が余計な口出しすることじゃないけどさ。千冬はいい子だから、修司が好きになってもおかしくないと思っただけ」
「俺なんかにはもったいなさすぎるだろ」
修司がボソッと呟くようにそう言ったから、千冬に惹かれていても浮気した過去がある自分は相応しくないと諦めているのかもしれない。
「あのさ、修司。人間誰しも間違えることはあると思うんだよ。大事なのは間違えた後。何度も同じ過ちを繰り返す奴は全然反省も後悔もしていないんだってことだけど、修司は違うでしょ? もう二度と浮気しないと心に誓ったなら、きっと次の人を大切に出来るよ」
「あんなに黄菜子を傷つけたのに、そんなこと言ってくれるんだ?」
「もしかして私に気兼ねしてる? 私は修司に幸せになってもらいたいと思ってるよ!」
「ありがとう。俺も黄菜子の幸せのためなら何だってするよ」
修司が噛みしめるように言ったから、私は「うん、知ってる」と呟いた。
後悔は誰にでもある。でも、それを引きずって残りの人生を台無しにしちゃダメだよね。
私も真人にきちんと謝ろう。まずはそこからだ。
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