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「どうしましたか藤子さん?」
「私としたことがタイムセールがあることをすっかり忘れてました…」
「お蕎麦狙ってたんですか?」
「はい…。でもこのスーパーのタイムセールって取り合いが激しくて…。いつもあの中に入っていけなくて諦めてたんです。だから今日はスタンバってなんとかゲットしようと思ってたんですけど…」
藤子さんの視線が向こうにある鮮魚コーナーに移る。
もうすでに戦闘体勢の整ったマダム達らが集まり、骨をバキバキと鳴らしている。
そこで僕はハッと思い出した。
僕が藤子さんの買い物を極秘護衛任務という名のただのストーカー行動をして追いかけている時、たまに藤子さんは群がっては暴れる集団を離れた所から呆然と見ていることがあった。
どうして見ているのだろうとずっと不思議に思っていたがやっと謎が解けた。
藤子さんも本当はセール品の狩りをしたいのだが、聖女のごとく優しい藤子さんは、他人を蹴飛ばしてまでは狩りはできない…と断念していたんだ。
ああ…なんと愛らしく健気な藤子さん。
僕の心にも戦闘心が芽生えた。
これはチャンスだ。
藤子さんに僕がいかに頼れる強い男子であるかをアピールできるまたとないチャンス!
「藤子さん、僕が行ってきます」
「えっ!い、いいんですよ!結構白熱するので怪我でもしたら大変です」
「いいえ、大丈夫です。先ほども言いましたが僕はこの為に鍛えていますから。頼りにしてください」
このそこそこ鍛えた筋肉は全て藤子さんの為につけたのですよ!
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