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予想してたより時間はかかったが、僕たちは買うべきものをカゴに入れたのでレジに向かった。
いつもはレジに並ぶ藤子さんを遠くから見守ることしかできなかったのに、今日は二人並んで待つことができるなんて…。
ああ…今日はなんていい日なのだろう…。
「藤子さん。すき焼きの具もお蕎麦も僕がソーセージと一緒にまとめてお支払いしますからね」
「えっ。いいですよ。すき焼きの具と蕎麦は自分で払いますよ」
ああなんと健気な藤子さん!
しかしですね藤子さん!僕は藤子さんに貢いで投資するためにお金を稼いでいるようなものなのですよ!
そんな気持ちがある僕は少々しつこく払わせてくれと頼み、藤子さんは頭を何度も下げつつ、渋々ながら了承してくださった。
「お待ちのお客様どうぞ~」
そうして僕達の番になった。
ソーセージの袋をレジ係のマダムが数えている間に、藤子さんは財布からポイントカードを取り出してお会計入れにそっと乗せる。
ああ、なんと節約家な藤子さん。
その姿を見てしまえば、僕の脳内に広がるのは僕の妻になった藤子さんが家計簿をつけている姿だ。
『今月の食費結構高いなぁ…』なんて悩めかしく呟く藤子さんのなんと可愛らしことか…!
『いいんですよ藤子さん!好きなものを好きなだけ食べてください!』と頼れる夫であるこの僕が言うと、藤子さんが『ありがとうっ』と僕にハグしてくれるという甘い妄想に頬が緩みまくった頃、レジの精算が終わり僕は仕方なく現実に戻った。
僕がカードを出して支払いを済ませると、レジ係のマダムが藤子さんにポイントカードを返す。
「お客様、ポイントカードが500ポイント溜まりましたので景品と交換できます。あちらのサービスカウンターで交換できますのでぜひご利用ください」
「え。もう500ポイント溜まったんですね」
「よかったですね藤子さん」
「仁科さんのソーセージのお陰です」
ああ…その言葉で僕の心の幸せポイントカードにポイントがつけられているのですよ藤子さんっ!逆に僕がありがとうございますなんですよ!
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