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マイバッグにソーセージなどの購入品を詰め込み、早速サービスカウンターに向かった。
店員さんにポイントカードの旨を伝えると、見本品一覧がプリントされた冊子を見せてくれる。
エプロンや調理器具、ノートや文房具などの日常品が多いようだが、どの景品にもこちらのスーパーのロゴがプリントされていて、お世辞にもセンスが良いとは思えなかったが、藤子さんは真剣に選んでいるのでその姿が可愛らしい。
「藤子さん、どれにしますか?」
「うーん…、そうですねぇ。たくさんあって選ぶの難しいです」
その後もじっくり選んでいる様子を、ああこの悩んでいる姿を写真に撮りたいなと考えながら見つめていると、「じゃあ」と藤子さんの人差し指がある景品を指差した。
「これをお願いします」
「かしこまりました。今ご用意いたしますね」
早速お店の人が対応している中、僕は緊急事態が勃発していたので固まっていた。
藤子さんが選んだのはスーパーのロゴがプリントされたガラスカップだったのだが、なんとこれがペアカップだったのだ。ピンク色と水色のガラスのペアカップ。
ぺ、ペア…。
なぜペアなんだ…!
藤子さんは一体どこのどいつをペアカップの相手に考えたんだ…?
その時脳裏に藤子さんの同僚、憎き坂本の顔が浮かんだ。
ま、まさか坂本か!?
あの、藤子さんの隣に平然と居座っているくせに藤子さんを狙ってるのか狙ってないのかよくわからないせいで僕もどう対処していていいかわからないあの妙に筋肉質な体の坂本か!?
お…、おのれ坂本…っ!いつの間に藤子さんのペアカップの相手に君臨してやがった…!
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