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一緒にすき焼き
蓬田藤子 視点
私としたことが、随分と大胆な真似をしてしまった気がする。
ペアカップを渡してしまうなんて。
あれを選んだ理由は仁科さんにお礼がしたかったからだったけど、ペアのものにしたことには少なからずお揃いの物が欲しいという私の欲望が確実に混じっていた。
付き合ってもいないのにペアカップだなんて。
仁科さん、迷惑に思ってたらどうしよう…。
渡した時ちょっと間があったし、使わないで保管したいとか言ってたし…。がっつきすぎちゃったかな…。もしかして重かったかな…。
仁科さんと並んで帰路を歩きながら、私はドキドキする半面、そんな不安を抱いていた。
アパートに着くと仁科さんはソーセージを冷蔵庫に入れてくると言って自宅に戻った。
すき焼きができたら呼ぶのでゆっくりしてていいですよと言ったけど、「いいえすぐ戻ってきます。料理もぜひ手伝わせてください」とまたしても若干食い気味に言われたので「では待ってますね」と返したけれど。
調理の準備をしながら、両手が震えてくる。
だって、一緒に買い物だけでもあんなにドキドキしたのに、一緒に料理をつくるなんて。
心臓がもつ気がしない。
なんなのこの嬉しい展開。
今日の運勢凄すぎない?
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