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今日もベランダでの会話が楽しみだなぁ~と、気分はウキウキ歩調はノリノリで帰宅した木曜日のこと。
夕飯は適当にふりかけご飯と目玉焼きにしちゃおうかなと考えていると、インターホンが鳴った。
玄関ドアを開けると、紙袋を持ったお隣さん。
「あれ、仁科さん。どうしました?」
「急にすみません。実は商店街のくじ引きで神戸牛が当選したんですけど、一人じゃ食べきれないので藤子さんにお裾分けしたくて」
「えっ!」
仁科さんが商店街を歩いている姿もくじ引きをする姿もなかなかイメージできないからなんか意外。
だけど、お裾分けの相手に私を選んでくださったのが嬉しすぎて、早速鼓動が速まっている。
どうぞ、と白い紙袋を差し出されおずおずと受けとるけど、申し訳ない気持ちがどうしても湧きあがる。
いつも貰ってばかりな気がする…。
紙袋の口から覗くいかにも高級品な木箱を一瞥するや、私は意を決して仁科さんを見上げた。
「あの、もし良かったら、一緒に食べませんか?」
「…一緒に?」
「はい。あの、いつも頂いているお礼に何か作りたくて…。えっと、すき焼きとかどうでしょうか…?」
こないだカレーも一緒に食べて、実は松茸も数日前に頂いて一緒に食べているから、流石にもう迷惑に思ってたりして…。
なんてちょっと不安も抱きつつ、返事を待つと。
「すき焼き、一緒に食べたいです」
仁科さんは綺麗な顔で照れたように笑ってくれた。
その顔…、もう可愛すぎる!
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