一緒にすき焼き

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 それにしても仁科さん、本当にすごい量のソーセージを買ってた…。  お金持ちの金銭感覚ってやっぱりわからないなぁ。気に入ったのはわかるけど、あんなに買うなんて。  仁科さんがどれくらいの大きさの冷蔵庫を持っているか知らないけど、全部入りきるのだろうか。  鍋を取り出しながら、今頃仁科さんはせっせとあのソーセージを冷蔵庫に詰めているんだろうと思うと、その姿がなんだか微笑ましくてついつい笑ってしまう。  すると玄関をノックする音が聞こえた。 「はーい」と声を出しながらドアを開けると、ソーセージの袋をいくつか持った仁科さんがいる。 「入りきらなかったので、お裾分けさせてください」  少々照れてる姿がなんだか可愛いし、お裾分けが食費に助かりすぎるので感謝しかない。 「いいんですか?」 「受けとっていただけると大変助かります」 「あはは。じゃあ、ありがたく頂戴いたします。いつも本当にありがとうございます」 「いえ、こちらこそ。いつもありがとうございます」  いつももらっているのは私だから仁科さんが何に対して感謝をしたのかよくわからなくて、つい首を傾げる。  仁科さんはぎこちなさそうに微笑を浮かべながら「いつも、僕と話してくれて…」と言うので、そんなのこっちの方が感謝してますけど!?が止まらない。  こんな爽やかイケメン、性格最高、声まで素敵なお隣さんとこうやって親しくできて、胸までときめいて毎日幸せな気持ちにさせていただいているのだから、私のほうがありがとうございますの嵐だ。  言ってしまいたいけど、言うと顔が湯ダコのように赤くなること間違いなしで恥ずかしいので胸に留めておく。
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