なんちゃってラブラブショッピング

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なんちゃってラブラブショッピング

仁科蒼真 視点  ああ…っ!  ふ、藤子さんと一緒に買い物!  なんて最高な展開なんだ!  正直に言ってしまうと、藤子さんとちょっとでも接触したいあまり僕は自分で買った神戸牛を商店街のくじ引きに当選したと嘘をついた。  わかっている!ちょっとゲスだしかっこ悪いと思う!  だが、あわよくば藤子さんが何か作ってくださり一緒に食事という流れにならないかという、僕のひどく浅ましい欲望に抗えず動いた結果が…、まさかスーパーに一緒に行けることになるなんて!  ああっ!なんてハピネス展開!  しかも最初から雰囲気も良く、息もピッタリだ。  すき焼きの締めが何派かを「せーの」の掛け声で同時に告げると見事に「うどん!」で一致したのだ。  隣で笑う藤子さんの愛らしい笑顔を見ながら、僕は幸せすぎて一人だったら泣いていたかもしれない。  ああ藤子さん!笑顔が可愛すぎますっ!  微笑みの女神です!  だが同時に心は咎められる。  蓬田家の鍋物の締めは決まってうどんだというリサーチをしておいて本当に良かったと思うけど、それは僕が藤子さんを五年もストーカーして知り得た知識だ。  そう、僕は卑しく浅ましいストーカー…。  今日も僕は藤子さんを騙して隣にいる。  いつかは、いや、今すぐにやめなくてはいけない。  わかってはいるのに、藤子さんを知れば知る程、距離が縮まれば縮まる程、もっともっとと欲深くなる。
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