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お裾分け
古いアパートの二階で一人暮らしをする私、蓬田藤子には、癒やしの存在がいる。
それは同じアパートの隣の部屋に住む、お隣さんの仁科蒼真さん。
ベランダで談笑したことがきっかけで、私と仁科さんは天候が悪い日を除いてほぼ毎日、夕食後にベランダでビールやお茶を飲みながら他愛もない会話をする関係になった。
私にとってその時間は癒やしの時間だ。
仁科さんがドタイプでかっこよくて目の保養になるのもそうなのだけど、私の話を肯定的に聞いてくれる優しさや気配りが嬉しすぎて、いつも胸が心地よく高鳴っては幸福感に包まれている。
そんな日々が続いたある日、仁科さんにカレーをご馳走しようと家に招いた日、私はやっと仁科さんへの恋心を自覚したわけだ。
気持ちに気づいてしまうと、それからの仁科さんとの時間が二倍も三倍も楽しくなっていた。
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