まじめなカノジョの拾い物

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「申し訳ございません。それでは予定通りのお部屋をご案内をさせていただきます」 「それでお願いします」 ニコッとワンコのようなその笑顔にきゅんとしてしまう。 「かしこまりました」 もちろんポーカーフェイスを決め込みながら、私は頭を下げた。 「すみません、せっかくお気遣いいただいたのに」 (カワイスギル) なぜか頭の中の変換がカタカナになってしまうも、そんな態度は微塵も出さずに笑顔を向けた。 「ごゆっくりお過ごしください」 頭を下げて二人を見送り、すぐに次のお客様の対応を始めた。 そして、チェックインのピークを終え、私は休憩室にいた。 「茉莉、また来てたじゃない。王子様」 同僚で友人の杏子の少し揶揄うような言葉にも、私はひるむことなくうっとりとした表情で答える。 「今日もかわいかったわ~」 そんな私に心底変なものをみるような視線を杏子は向ける。 「だって見るだけなら最高じゃない?」 これもいつものことで、そんな杏子に気にすることなく言葉を続けた。 杏子はこの職場では唯一昔の私を知る人間で、職場でも仲良くしている。
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