26人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
僕達は、「野外ダンジョン研修」に備えて、洞窟のフィールドを選択した。自動結界システムは、異世界の中から、希望した場所を検索し、そこに結界を張ってくれる。
フィールドに入ると、そこは、周囲をゴツゴツとした岩に覆われた場所だった。本来なら、暗闇に閉ざされた場所であるが、僕は手にした魔道士の杖の先に、既にライティングの魔法を掛けておいた。なので、暗闇で視界が遮られるということはなかった。
「来るぞ」
突然、タケシの声が短く響いた。
すると、洞窟の奥の暗がりから、ガチャガチャと何かが擦れ合うような音が聞こえてきた。そして、闇の中から錆びたシミター(半月刀)を手にした骸骨の兵士が、五体程現れた。
「スケルトンね」
エリカは、フンと鼻を鳴らすと、錫杖を構え、呪文の詠唱を始める。僧侶であるエリカが使う魔法は、神聖魔法と言って、その力の出処を神に求めるものだ。聖なる神の力をもって魔を滅するという訳である。
最初のコメントを投稿しよう!