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場所…夜中のコンビニ
役…強盗:ツッコミ コンビニ店員:ボケ
***
コンビニ店員「はあ、だる……店長は今日もクソだし、眠いし……」
(コンビニに強盗がやってくる)
強盗「動くな、俺は強盗だ!」
コンビニ店員「ご、強盗……ほ、本当に強盗?」
強盗「そう言ってんだろ!」
コンビニ店員「強盗ってことは、何かを奪うためにこのコンビニに?」
強盗「そうだ。わかったら、さっさと金や金目のものを」
コンビニ店員「奪ってくれるんですね、やったー!!」
強盗「俺の話聞いてた!?」
コンビニ店員「はい! 店長のタマ奪うために来たんですよね?」
強盗「そんなこと一言も言ってない!! ただの強盗には荷が重すぎる!!」
コンビニ店員「あ、店長おっさんなので、あっちのタマが難しければ、こっちのタマとってもらっても全然OKです」
強盗「いるか!! どっちのタマも!!」
コンビニ店員「え、盗らないんですか? まあ、カネというよりキンですからね」
強盗「うまい言い方じゃねえし、盗らねえからな、どっちも!! 俺はただのコンビニ強盗!! 金や金目のものを奪うために、ここに来たんだよ!!」
コンビニ店員「チッ、使えねえ強盗が来たもんだな。これなら酔っぱらいのおっさん相手してる方がマシだ。らっしゃーせー」
強盗「大歓迎から一気に面倒丸出しの接客になったな、おい!!」
コンビニ店員「使えないやつに用はないんで、さっさと用事すませて帰ってもらっていいっすか? 相手するのだるいんで」
強盗「いや、だから俺、強盗だって言ったよな。一応、ほら、拳銃も持ってんだけど」
コンビニ店員「ここ店長のコンビニなんで。なに盗られようが、俺にとってはどうでもいいかなって」
強盗「どうでもよくはないだろ。一応、お前の職場でもあるんだから」
コンビニ店員「あ、じゃあ、俺の今日の給料分だけ残しといてもらえたら。あとはどうぞ好きなものをお好きなだけお取り下さいませ~」
強盗「ホテルの朝食バイキング会場じゃねえからな、ここ!? なに優雅なポーズでご案内してるんだよ!?」
コンビニ店員「飲み物はそちらからご自由にどうぞ~」
強盗「それはドリンクバーじゃなくて、買ったコーヒーいれるところ!!」
コンビニ店員「あ、これなんかおすすめですよ。店長のヅラ」
強盗「いるか!! それにお前のヅラの持ち方、牛乳ふいた汚ねえ雑巾の持ち方だろ!?」
コンビニ店員「ははは、ですよね~」
強盗「おもくそ叩きつけたな、床に!! 表情と行動がなにひとつあってねえ!! ほんとこいつに何したんだよ、店長」
コンビニ店員「俺にだけなんです。他のやつがミスしても適当に流すくせに、俺が同じミスをするとひどく怒鳴ってきて……俺、もう限界で」
強盗「そうか、そんなことが……」
コンビニ店員「毎日レジに立ちながら、考えてしまうんです。跡形もなく完膚なきまでに消えてしまえばいいのにって」
強盗「おいおい、気持ちはわかるけど、そんな滅多なことは言うもんじゃ」
コンビニ店員「このコンビニと店長の毛根が」
強盗「一瞬でも心配した俺がバカだった!!」
コンビニ店員「ははは、こんなクソみたいなコンビニにきた強盗が何言ってんすか、今更。こんなクソみたいなコンビニに金や価値のあるものなんかあるわけないのに」
強盗「妙に腹立つな、お前。けど、あれだ、店長はもしかするとお前に期待してるんじゃないのか」
コンビニ店員「期待……?」
強盗「店長のやり方はどうかと思うが、どうでもいいやつにわざわざ注意はしないだろ」
コンビニ店員「それはつまり……俺に価値があると? コンビニと店長の毛根の消失を日々祈ることくらいしかできない、こんな俺にも?」
強盗「そんなことを毎日祈れるなら、どでかいことも十分できるし価値もあると思うけどな、俺は。拳銃持ってる強盗を前に平然としてるし。どうなってるんだよ、お前のメンタル回路は」
コンビニ店員「……あの、少し待っててもらっていいですか?」
強盗「あ、ああ……」
(コンビニ店員はける)
強盗「はあ……やっと金を持ってくる気になったか……?」
(リュックを背負ったコンビニ店員登場)
コンビニ店員「お待たせしました~」
強盗「おい、なんだ、その荷物は!? 金目のものはどうした!?」
コンビニ店員「こちら金や金目のものより価値あるもの、俺になります」
強盗「なんでドヤ顔でおすすめメニュー紹介するみたいに言ってるんだ、お前!?」
コンビニ店員「俺、今の話で気づいたんです…価値のある俺という店員が奪われる。コンビニや店長に一番ダメージを与えられるのはこれだって!!」
強盗「お前のメンタル回路バグりすぎにも程があるだろ!?」
コンビニ店員「あ、リュックにはコンビニの売り上げと店長のヅラのスペア全部詰めてきたんで。さあ、早く行きましょう、ひゃっほー!」
強盗「なんでこんなところに強盗に入ったんだ、俺は!!」
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