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ロボット係の朱音は、登校してきたそのロボットを毎朝教壇の前の机まで運んでやる。
「おはようホワイト。調子はいかが?」
「おはよう朱音ちゃん。今日はプログラムの更新がたまっててね。明け方まで続いちゃったよ」
「じゃあ寝不足?」
「いやいや。僕はロボットだからね」
ホワイトの声は単調な機械音なのだが、それでも可笑しそうに笑ったように聞こえた。
朱音もそうだよねといって笑う。
ふと教室の窓から飛行機雲が目についた。
朱音はホワイトを頭上に掲げ、窓際まで連れて行く。
「見える?飛行機雲。真っ直ぐだねぇ」
「本当だ。白くてまっすぐで、白猫のしっぽみたいじゃない?」
「そうね。ホワイトの尻尾みたい。フワフワじゃないけど」
「ロボットだからね」
1人と1体は空を見上げてまた笑った。
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