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朱音は毎日、ホワイトと行動を共にした。
最初はおっかなびっくりだったクラスメイト達も、次第にホワイトのいる教室が当たり前になる。
朱音は忘れずにホワイトを運んでやる。
授業なら黒板の見える位置。
校外学習や運動会なら外が見える場所へ。
ホワイトは大満足のようだ。
「おいホワイト。次サッカーだぞ。お前もコートまでやりにこないか?」
「僕はみてるよ。頑張ってねトシキ」
「今日は家庭科でお菓子をつくるでしょ?私の班はクッキーにするの。ホワイトにもあげるわね」
「ありがとうマリ。じゃあ完成したら持って帰らせて」
ホワイトもクラスメイトと過ごす時間が楽しかった。
「お前は皆と違うから」と、受け入れてもらえなかった過去もある。
でもここは違う。
みんなが優しくてあたたかい。
その雰囲気をつくってくれているのは、他でもない朱音だ。
「ねえホワイト?教室のメダカが卵を産んだのよ。水草についてるの、見える?」
「ねえホワイト?今日はマリがお休みだから、代わりに生き物係のお仕事もするわよ。ウサギ小屋に行きましょう」
「今日は雨だね。でも、もうすぐあがるって先生が言ってたわ。虹がでたら、一緒に見ましょうよ」
「ありがとう朱音ちゃん。いつも僕を運んでくれて、たくさんのものを見せてくれて、本当にありがとう。知らない景色がこんなにあるなんて、知らなかったよ」
「だったらもっともっと、これからたくさんのモノをみていこうね」
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