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女性の目には涙がにじんでいた。
朱音は頷くとホワイトを手のひらに乗せる。
「さあホワイト、今日は卒業式よ。校長先生のお話し、長いけど寝ちゃダメよ」
「もちろんちゃんと聞くよ。僕らにとって特別な日なんだからさ」
卒業式の会場である体育館はとても寒く、ストーブが何台も置いてある。
「寒いね、ホワイト」
「僕は寒くないよ。ロボットだからね」
「いいなぁ。ロボット」
そんな雑談をしつつ、ホワイトは朱音の膝の上で校長先生の話を黙って聞く。
卒業証書は各クラスの代表者が受け取る。
朱音とホワイトのクラスは、委員長のマリだ。
マリは校長先生から受け取った証書を、ステージで広げるとこちらへかかげて見せてくれる。
朱音はホワイトを少しばかり傾けて、彼女のほうを向かせた。
ホワイトの無機質な瞳に、マリの笑顔と卒業証書が映った。
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