3人が本棚に入れています
本棚に追加
神託が降りて、
夢の中で神が言う、
「今日、最初に会ったイカした野郎に告白しろ!!」
”いやいやいや、イカした野郎って!(*¯○¯)(¯о¯*)”
・・・・・・
「うぉっ!! 今の・・・ ──夢? ・・・夢か~」
「美咲~ 朝よ~ 起きなさ~い」
「やば、もう7時半って」
「ご飯食べるでしょ~」
「ムリ~ィ!!」
”やばいやばい、早く着替えなくっちゃ。──うっわ~ 髪ボサボサ。・・・時間が無いからこれでいいや”
・・・・・・
「いつもの事だけど、どうして起きれないのかしらね?」
「ちょっと夜更かししただけだし」
「どうして早く寝ないのかしらね?」
「だって春だっしょ!」
「全く理解できないわね。──もう中学3年なんだからしっかりしなさいよ。髪もそんな金髪じゃどこの高校に行けないわよ」
「へいへい」
「弁当持った?」
「持った、持った」
「慌てて走ると転ぶわよ」
「もう間に合わなし、ダッシュ一択っしょ!」
「だから余裕持って行動しなさいっていつも言ってるでしょ」
「そいじゃ、行ってきマッスル」
”──あそこの角を曲がるまで2分、信号は運が良ければ30秒以内、直線を走って5分、校門をくぐって靴履き替えて3階まで昇ってゴール。多分2分くらい余裕があるっしょ”
「やばい、きつい、マジやばい」
キ~ン コ~ン カ~ン コ~ン
”え、はや!”
「まだ2階なのに! きっつぅ!」
”・・・この階段を昇り終えても遅刻確定、もうのんびりでもいいんじゃね”
「ガンバレ」
「え?」
「ほら、もう少し、もう少し、ほら、ほら」
「あ、はい」
「ほら、最後の1段、──僕の手を掴みなさい」
「ありがとうございます」
山高帽を浅めにかぶった老人が最後の1段を手伝ってくれた。
「ほら、急いでよ、ここがゴールじゃないんでしょ」
階段を昇り終へてその老人を直視すると握られた手からビビビと来るものを感じてしまった。
♯♯♯今日、最初に会ったイカした野郎に告白しろ!!♯♯♯
”この人、・・・確かにイカした野郎って感じかも♡♡♡”
「あの~」
「なんだい」
「結婚してください」
”え! わたし何を言ってるんだろ”
「ほっほっほっ、こりゃたまげたね」
「あ、いえ、これはちょっとしたジョークでして・・・」
”何だろ、めっちゃドキドキしてる”
「いいよ」
「え?」
「だから僕と結婚するんでしょ」
”笑顔ヤっばぁ! マジで惚れたかも。・・・でもこれってアリか? どう見ても歳の差60歳以上あるっしょ”
「僕は妻と死に別れてから30年経つんだよね。──でもね、昨日の夢でそろそろ新しいお嫁さんでも貰ったら、ってお告げがあったんだよ。なので丁度良かったよ」
”身なりは良さそうだけど、・・・もしこの老人と結婚したとして生活とかやっていけるのだろうか?”
「年収はどのくらいですか?」
「そうだね~ この学校の理事長とかやってるし、貸しマンションをいくつか持っててね、それの不動産収入とか、飲食店の収入とか、まだまだあるけどざっと見積もって色々引かれた後の1年間の所得は1億5000万円くらいかな」
・・・・・・
「お住まいはどちらに?」
「ん? 住んでるところ?」
「はい」
「今日みたいに学校に来る日は近くの大きなマンションの最上階にいるけど、週末はハワイにある本宅でのんびりしているかな」
「あらためて要望します。私と結婚してください」
私は握られた右手の上から左手を被せて固く握った。
「だからいいよってさっきから言ってるでしょ、ほっほっほっ」
「ではまず子作りから始めさせていただきたいのですが」
「そりゃちょっとまずいでしょ、完全に淫行だよ。──僕はこんな老人だけど、それでも教育機関に所属しているわけだしね」
「では私の両親に挨拶してもらって、そして二人の今後の事について宣言してもらえませんか」
「宣言?」
「はい、結婚する旨の宣言です」
「いいよ」
「ありがとうございます。親の了承が得られれば何をやっても問題は無いでしょうから安心ですよ」
「そうだね、では今から行こうか。善は急げだからね。──僕も久しぶりに何だか色々と興奮してきたよ」
”興奮って!”
「君の名前はなんて言うの?」
「はい、美咲といいます」
「では美咲、行こうか」
「はい、・・・すみません、お名前は何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「僕の名前? 源吉だよ」
「ではゲン様とお呼びさせていただきます」
「え~、それって何だか嫌な感じだね~」
「では、何とお呼びすればよろしいでしょうか?」
「前の奥さんはゲンちゃんって呼んでくれていたからそれでいいよ。あと畏まった話し方は無しね」
「ゲンちゃんっスか、わかったっス! ──ではでは早速我が家に出発っしょ!」
「ほっほっほっ、そうそう、その調子で」
”アァァァ~ 私もついにセレブなお嫁さんか~”
「しかし、ま~何だ、ミサリンは今日の授業はいいのかい?」
”ミサリンって、ヘヘ(๑✧∀✧๑)”
「ん~ そうッスね、今日は特別な日だから神様も目を瞑ってくれてるっしょ」
「特別な日か、それいいね~ それじゃ今日の日を毎年祝う事にしようかね」
「それじゃあ、わたしの手料理で祝っス」
「手料理か~ いいね~ ──でもやっぱり学生の本分は勉強なんだから今日は授業を受けた方がいいかもね」
「そんなに心配しなくっても今日は授業に出なくて大丈夫っスよ、わたしできる女なんで1日くらいヘッチャラチャラっス」
「でもね、後ろに立っておられる先生はそうでもない様子だよ」
・・・・・・
「ウゲッ!!」
END
最初のコメントを投稿しよう!