2.確信

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 洗濯機が終了の合図を発した。  私はとぼとぼと音のする方へ足を向けた。  洗濯物を干して、買い物に行き、お義母さんのお昼ご飯を作って、片付け、忘れていたトイレ掃除をして、晩ご飯の支度をした。  途中で輝に電話をした。  幸大はテレビを見ながらおやつを食べていた。  輝は今夜も張り込みらしく、明日も来てくれると言った。  輝は、ホストでお金を貯めた後、先輩と一緒に何でも屋を始めた。  浮気調査や素行調査のような探偵業もすれば、運転代行やペットの世話なんかもするらしい。  ホスト時代の人脈で、レンタル彼氏もしていると聞いた。  姉としては定職についてほしいと思った時もあったが、今は弟が元気に生活できているならいいと思う。  定職についている人が偉いわけじゃない。  弘毅さんのような男を見て、そう思う。  お義母さんに幸大のことを聞かれたのは、晩ご飯の準備を終えた頃。  お義母さんは輝を良く思っていない。  私が結婚した当時はホストをしていたから、世間体を気にしてあまり関わるなと言われたくらい。 「幼稚園に預けられるんじゃないの?」 「それだと、お義父さんが帰って来るまでは無理なので」 「そう」  それ以上言わなかった。  お義父さんが帰るまで私を帰したくないのは、どうしてもらしい。  息子や娘より孫の方が可愛いなんて聞いたことがあるけれど、うちの義両親には当てはまらない。  お義父さんが帰ってきて、期待していなかったけれど感謝の言葉などはなく、それどころか食事の品数が少ないと呟かれた。  一汁三菜では足りなかったらしい。 「お父さんはね、酢物は食べないのよ。漬物も」  きゅうりの酢の物や酢だこを食べているのを見たことがあるが、気のせいだろうか。
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