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結局、平日の三日間、義母の世話に通った。
輝には感謝しきれない。
夜は張り込みで、私を送った後、幸大が帰って来るまで眠り、幸大の相手をしてくれていた。
「酢物、全部持って帰っちゃったの? 私は食べるのに」「揚げ物? 年寄りに優しくないのね」「お父さん、パンは食べないの。あ、私は食べるわよ?」「廊下がペタペタするんだけど、ちゃんと拭いてる?」「味が濃いわねぇ」「これ、ちゃんと味付けした?」
そんな小言を言われ続けた私は、週末になって体調を崩してしまった。
声が変だと輝に言われた翌日には咳が出て、弘毅さんには汚いものを見るように「うつすなよ」と言われた。
土曜日はなんとか耐えたのだが、日曜日は熱が出て起き上がるのもつらくなった。
嫌な予感がして、冷凍食品や菓子パン、レンチンで食べられるお惣菜を買っておいて良かった。
「ママ、大丈夫?」
幸大が心配そうに私の頭の横に座った。
「大丈夫だよ。でも、うつったら大変だから離れててね?」
「うん......」
一緒に寝ている幸大にうつっていなくて良かった。
「ろくなもんないから、幸大と飯食ってくるわ」
「チョコパンあったよ?」
「あんなん、飯じゃねーだろ。行くぞ」
「ママ......」
不安そうに私を見る幸大に、弘毅さんは舌打ちをする。
映画館の時のことがあるから、心配なのは私も同じだ。が、食事するだけなら大丈夫だろう。
「美味しいもの、食べといで?」
弘毅さんは勝手に私の財布からお金を抜き、持って行った。
お義母さんのお世話に行っていた時の買い物代も貰っていないから、今月は大赤字だ。
泣いてもいいだろうか。
ここまでして、されて、それでも耐える意味は、なんだろう。
帰る家がないから?
親がいないから?
子供がいるから?
仕事をしていないから?
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