2.確信

13/16

3750人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
 誰か、教えてくれないだろうか。  正解を。  私がすべきことを。  誰かが、「みんな耐えてるんですよ」と教えてくれたら、耐えられるかもしれない。  でも、違ったら?  だって、他の家のパパは休日には子供と遊んで、ママの誕生日や結婚記念日にはお小遣いを貯めてプレゼントを買ってくれると聞いた。  たまにはのんびりしておいでと、子供の世話を買って出て、美容室や買い物、友達との食事に送り出してくれるとも。  なにより、二人目や三人目の子供ができるってことは、セックスするほど仲がいいってことでしょう?  パパがママに欲情するからでしょう?  愛し合っているからでしょう?  愛し合っているなら、浮気なんてしないでしょう?  愛人と妻の悪口を言うなんて、しないでしょう?  私......高望みしてるのかな......。  親のない、帰る家のない私は、愛されたいなんて望んじゃいけないのだろうか。  住む家があって、毎日の食事ができて、可愛い子供がいることに感謝して生きるべきなのだろうか。  夫に怒鳴られ、無視され、舌打ちされても耐えるべきなのだろうか。  浮気され、馬鹿にされても?  嫁という名の奴隷扱いでも?  わからない。  わからない......。  わからない............。  頭が痛い。喉が痛い。胸が苦しい。  私は考えるのも泣くのも諦めて、目を閉じた。  目が覚めた時、部屋はうす暗くなっていた。  家の中は静かで、食事に行くと言った弘毅さんと幸大が帰っている気配はない。  スマホを見ると、二人が出て行ってから五時間が過ぎていた。  食事だけにかかる時間じゃない。  食事の後で遊びに行った?  何の連絡もなく?  映画館でのことが頭をよぎる。  心臓が、早鐘を打つ。  幸大は無事だろうか。  ちゃんと二人一緒にいるだろうか。  怖い。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3750人が本棚に入れています
本棚に追加