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カードキーのコピーもできないが、住人と一緒か、住人からの指示がなければコンシェルジュが通さない。
防犯対策が万全だと、ネットにもあった。
里菜に気に入られておく必要があるな……。
『旦那の愛人が弟とまでヤッたら、姉ちゃん泣くな』
遼平さんに言われなくてもわかってる。
だけど、姉ちゃんと幸大を傷つけた弘毅に復讐してやるには、俺自身が里菜の近くにいる必要がある。
そのために、セックスまでしなくても、多少の絡み合いには応じなければ。
想像すると怖気づきそうで、俺は気を逸らした。
それにしても、こんな金持ちお嬢様が、なんで弘毅なんてフツーの男がいいんだか……。
部屋に入ると自動でドアに鍵がかかり、照明が点く。
お嬢様はスイッチを押すのも面倒ですか。
里菜は脱いだ靴がひっくり返ってもお構いなしで、遼平さんの手を引いてずんずん歩く。
俺は自分が脱いだ靴を揃えた。
姉ちゃんの躾の賜物は、この場合はいいんだか悪いんだか。
二人の後についていくと、寝室だった。
立って抱き合う二人を前に、どうしたものかと足を止める。
「里菜、なんか飲ませろよ。いいモンあんだろ?」
「ああ、うん。ちょっと――」
「――ああ、いい。テルに用意させる。いいだろ?」
遼平さんは腕から離れようとした彼女を抱き戻す。
首筋にキスをして、胸を揉み上げる。
「っん」
「テル」
「……はい」
薬を――。
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