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キッチンに行くと、そこも勝手に照明が点いた。
冷蔵庫を開けると、ビールやシャンパンが詰まっている。俺は適当なシャンパンを手に取った。
ポケットの財布から薬を取り出す。
青い錠剤だが、バレないだろうか。
心配になったが、遼平さんの指示に従うしかない。
俺は錠剤を置き、すぐそばにあったグラスの端を押し当て、ゆっくりと圧し潰した。
そして、棚からシャンパングラスを二つ取り出し、シャンパンを注ぎ、一つに薬を混ぜた。
「大丈夫か?」
思わず不安が漏れた。
金色の液体にくすんだ青が溶けていく。
寝室は薄暗いから、大丈夫だろう。
俺はグラスを持って寝室に戻った。
「――っ」
どれだけの早業なのか、それともこれが普通なのか。里菜は半裸で遼平さんに組み敷かれている。
「おせーよ」
俺に気づいた遼平さんが手を伸ばす。
俺は薬入りのグラスを差し出す。
「里菜さんに――」
言い終える前、というか言い始める前に遼平さんはグラスに口をつけた。
勢いよくグラスを傾ける。
「りょ――」
それは薬入りだと伝えようとすると、彼は軽く首を振った。
そして、シャンパンを口に含んだまま、里菜に口づけた。
「美味いじゃん」
そう言うと、遼平さんはもう一度同じことをした。
グラスはほぼ、空。
そのグラスを突っ返されて、薬の入っていないグラスを奪い取られた。
「まずは俺の好きにヤラせろよ」
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