4.仕掛ける

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 キッチンに行くと、そこも勝手に照明が点いた。  冷蔵庫を開けると、ビールやシャンパンが詰まっている。俺は適当なシャンパンを手に取った。  ポケットの財布から薬を取り出す。  青い錠剤だが、バレないだろうか。  心配になったが、遼平さんの指示に従うしかない。  俺は錠剤を置き、すぐそばにあったグラスの端を押し当て、ゆっくりと圧し潰した。  そして、棚からシャンパングラスを二つ取り出し、シャンパンを注ぎ、一つに薬を混ぜた。 「大丈夫か?」  思わず不安が漏れた。  金色の液体にくすんだ青が溶けていく。  寝室は薄暗いから、大丈夫だろう。  俺はグラスを持って寝室に戻った。 「――っ」  どれだけの早業なのか、それともこれが普通なのか。里菜は半裸で遼平さんに組み敷かれている。 「おせーよ」  俺に気づいた遼平さんが手を伸ばす。  俺は薬入りのグラスを差し出す。 「里菜さんに――」  言い終える前、というか言い始める前に遼平さんはグラスに口をつけた。  勢いよくグラスを傾ける。 「りょ――」  それは薬入りだと伝えようとすると、彼は軽く首を振った。  そして、シャンパンを口に含んだまま、里菜に口づけた。 「美味いじゃん」  そう言うと、遼平さんはもう一度同じことをした。  グラスはほぼ、空。  そのグラスを突っ返されて、薬の入っていないグラスを奪い取られた。 「まずは俺の好きにヤラせろよ」
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