4.仕掛ける

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 遼平さんは里菜の様子を窺い、俺はベッドボードのコンセントに挿し込まれた充電器を外し、盗聴機能付きの充電器に挿しかえる。  リビングには、ペン型のボイスレコーダーをソファの背後に置いた。  見つけても、落としたのだと思うはず。  あとは、カメラだ。  遼平さんがよく見ている探偵ドラマと違って、今の家にはカメラを仕掛けられる換気口なんてない。  時間があればパソコンに盗撮アプリを仕込めるのだが。  そう言えば、パソコンやタブレットが見当たらない。  見回すと、ソファ横のサイドテーブルの上にあった。  あまり使われていないのだろう。  畳まれたノートパソコンの上にファッション雑誌が積まれている。  雑誌をよけると、パソコンの脇にあるスマホが目に入った。  電源ボタンを押すが、反応がない。完全に充電が切れているらしい。  俺はそのスマホを持って寝室に行き、里菜のバッグからスマホを探す。  やはり。  スマホはちゃんとあって、俺が見つけた物より新しい機種。となると、これは機種変更前の古い機種だろう。  金持ちはスマホの下取りもしねーって?  だが、俺には都合がいい。  俺はスマホを充電し、電源を入れた。  そして、中のデータをすべて、俺のパソコンに転送する。更に、盗撮アプリをインストールした。  これで、このスマホのカメラを乗っ取れる。  Wi-Fiに繋がっているから、録画されたデータはネット経由でいつでも見られる。  あとは、このスマホを常時充電できれば完璧だ。  古いスマホが充電されっぱなしだったら、さすがに不審に思うよな。  俺はスマホを充電しつつ、リビングか寝室を撮影できる場所を探す。 「輝」  遼平さんが寝室から出てきた。 「まだか?」 「コレの置き場が――」  言い終わる前に、スマホをかすめ取られた。
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