4.仕掛ける

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 コードに繋がったままのスマホを持って、遼平さんが部屋の中をじっくり見回す。 「案外、堂々と置いておいた方が良かったりするんだよな」  遼平さんは壁に掛けられたテレビに近寄る。  それから、テレビのすぐ下の壁面収納棚に置かれたDVDレコーダーや時計を見る。  そうか。  レコーダーの配線なんて誰も見ない。  常時充電できるし、レコーダーの陰になっていたら見えにくい。  遼平さんはレコーダーの背面に充電器を挿しこみ、スマホを横向きに、カメラ部分だけがレコーダーからはみ出るようにして置いた。  俺はアプリで接続と、映像を確認する。  立っている遼平さんは見えている。  寝ころんだりしてしまっては見えないが、部屋に入ってきた人物はわかる。  俺は遼平さんに向かって頷いた。 「じゃ、行くぞ」  部屋の中を見回して、目覚めた里菜が不自然に思うところがないかを確認する。  大丈夫だ。  パタンと音がして、目を向ける。  遼平さんがキッチンを物色していた。 「遼平さん?」  冷蔵庫からシャンパンを取り出す。 「これ、撮っとけ」  シャンパンを? と思ったが、彼が指さした先には薬のプレートがあった。袋も。  言われた通りに、スマホで撮影する。  ピル……。  不倫している女の必須アイテムと言ったところか。  遼平さんはピルを元あった通りに戻す。 「それ、持ってくんですか?」  シャンパンを指さすと、遼平さんがニヤリと笑った。 「さすが、イイモン揃えてるよな」  瓶にキスをする。 「起きる前に行くぞ」  俺たちは、そっと部屋を後にした。
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