1.疑い

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 ママは妊娠中で体調が良くないから、パパが子供と買い物に来ているのだろう。  子供......か。もう、作り方も忘れちゃったな......。  幸大を身籠ってから今日までの七年ほど、私は夫に触れられていない。  同じくらいの年のママが二人目、三人目を妊娠し出産するのを、羨んできた。 『兄弟で年が離れすぎるんじゃない?』『一人っ子は可哀想だよ』なんて言葉に傷ついたのはもう過去のこと。  できるはずがない。  シてないんだから。 『もう、お前に欲情しない』  そう言われたのは、三年位前。  幸大が二歳になった頃から二人目が欲しいと思っていた私は、お義母さんから二人目の予定を聞かれたタイミングで夫に聞いた。 『お義母さんも言っていたけど、二人目......欲しくない?』  その答えがアレだ。  それ以来、夫婦間で子供の話はしていない。  お義母さんにどれほど催促されても、責められても、何も言えない。  言えるはずがない。  弘毅(こうき)さん、私じゃ勃たないんですって――。  チョコレートを握りしめた女の子とその父親がレジに向かう姿を眺め、私はため息をついた。  あのパパは、ママの財布からお金を抜いたりしないのだろう。  わかっている。  うちが、おかしい。  私たち夫婦が、おかしいのだ。
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