3751人が本棚に入れています
本棚に追加
俺と遼平さんがいなくても構わず遊んで行くらしく、店は喜んでいる。
現在のナンバーワンとツーの二人を指名することもあるようだ。
遼平さんに、里菜の興味が移っているんじゃないかと話したら『プライドの高いあの女が、お姫様扱いで満足するわけない』と言われた。
遼平さん曰く、里菜は『女王様』タイプだから、遼平さんにヤラれたままではプライドが許さないだろうと。
絶対に、遼平さんに自分を求めさせようとするはずだ、と。
実際、里菜は店に行くたびに、まず遼平さんか俺を指名しているらしい。
ただ、里菜の執着がいつまで続くかはわからない。
弘毅と里菜が会わなくなって昨日で二週間。
「あ、そうだ。旦那には俺がホストに戻ったと思わせておいてよ」
『どうして?』
「また仕事中に会ったらマズいからさ」
『……うん、わかった』
「幸大は? 元気?」
他愛のない話をして、電話を切った。
会いたいな、と思った。
姉ちゃんをハグしたら、疲れも吹っ飛ぶのに……。
そんなことを思いながら、目を閉じた。
動きがあったのは、ちょうどその夜。
店に来た里菜が、今日も俺と遼平さんがいないと知って、遊ばずに帰った。
弘毅と会うつもりだ、と思った。
里菜の部屋のカメラに接続すると、彼女は既に帰っていた。
リビングのボイスレコーダーはとっくに切れているから、スマホの音声が頼りだ。
ほどなくして、インターフォンが鳴った。
里菜がカメラから外れ、すぐに戻ってきてソファに座った。赤ワインが入っているであろうグラスに口をつける。
『お前、ずっと――』
『――奥さんとヤッた?』
里菜が唐突に聞く。
『はぁ?』
最初のコメントを投稿しよう!