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「~~~っ! 遼平! さっさとゴムつけて」
里菜が遼平さんの腕を掴んで、寝室に引っ張っていく。
俺はキッチンに戻って、グラスを洗った。念入りに。
「あぁっん!」
ドア二枚を隔てていても聞こえるほど、大きな声。
「気持ちいぃっ」
薬は効くだろうか。
あまり遼平さんの負担にならないように、早く効いてほしいと願う。
ただ、これはチャンスだ。
俺はスマホ片手に物色を続けた。
念のために薄いゴム手袋をはめて、引き出しや扉を開けていく。
リビングと続いている部屋のクローゼットを開けると、事務所で請求書や領収書入れに使っているようなあまり大きくない引き出しがあった。
三段の上から開けていく。
クレジットカード会社からのDMがあり、見てみると、カードの名義は父親の名。
家族カードか何かなのだろう。
二段目には通帳があった。
真新しい通帳の最後の日付は半年も前で、父親からの入金だった。
百万……。
自分自身、それなりの給料をもらっているだろうに、父親から桁違いの小遣いまでもらっている。
ホストクラブでの金の使いっぷりを見て予想はしていたが、こうして数字を目の当たりにすると腹立たしい。
さっきだって、店でブラックカードを使った。
現金の他にカード使い放題だなんて。
こんなに恵まれてて、なんで姉ちゃんの旦那にまで手を出すんだよ!
通帳を持つ手に力が入る。が、握り潰してしまっては、見つけた里菜に不審がられてしまう。
俺は通帳を撮影し、戻した。
三段目を開ける。
なんだ……?
ジッパー付きの小さな袋に入った錠剤。
違う形、色のものが数種ある。
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