3750人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだよ。新品みてぇだな」
激しく揺さぶられながら、私はひたすらに痛みに耐えていた。
抵抗して膝が夫の腹に当たり、また殴られて、私は抵抗をやめた。
酔った夫の瞳は虚ろで、何を言っても無駄だと諦めたのは、暴れるほど膣内が痛むから。
痛い思いを増してまで暴れるより、大人しくして早く終えてもらおうと思ったから。
思ったのに、そうはならなかった。
何度も貫かれ、何度も吐き出され、ようやく私の膣内から夫が出て行った。
夫は布団にくるまっていびきをかき始め、私はベッドを下り、足に伝う夫の精をティッシュで拭った。
足や腰が痛い。頬も痛い。押さえつけられた手首も肩も。
ふらついて、夫のバッグを蹴飛ばしてしまった。
そのまま座り込む。
夫のバッグを元に戻そうとして、茶色い厚みのある封筒が目に入った。
不自然な厚み。
私は封筒を開けた。
コンドーム……。
私には使わなかったコンドーム。
愛人のためのコンドーム。
私は封筒を逆さまにして、中身を広げた。
九個のコンドーム。
何も面白くないのに、なぜか口元が笑みを浮かべてしまう。
自分の間抜けさが笑えるのかもしれない。
いびきだけが響く部屋で、ピコンッとメッセージの着信を告げる電子音が聞こえた。
バッグの中の夫のスマホを取り出す。
〈会いたいんだけど〉
送り主は、里菜。
別れたんじゃなかったの……?
ふるっと寒さに身体を震わせ、裸の自分を抱きしめた。
それから、ゆっくりと立ち上がって、部屋の隅の裁縫箱を開ける。
最初のコメントを投稿しよう!