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成人式の日、私は目を覚ました瞬間。
思わず泣いた。
どう考えても体の調子がおかしい。私は声も出さないまま、流れる涙をそのままにして額に手を当てた。
「熱、あんじゃん…」
私は重い体を引きずりながら、わずかな希望を胸に体温計をとった。
私の希望は届かず、体温は38.5度だった。
私は大声を出して泣きたかったけどそんな体力もないので、もう一度布団に戻り、ぼやけた視界のまま有彩に連絡をした。
有彩からはすぐに残念がる連絡が届いた。
私と有彩は二人で成人式に行く予定だったので、有彩を一人にしてしまうのはすごく申し訳なかった。
そして、平田くんと出会えるはずだった機会を逃してしまったことが悔しくて悔しくてしょうがなかった。
本当は意識が朦朧としていても成人式に向かいたかったが、もしこれが流行りの病だったら多くの人に迷惑がかかる。
私はとりあえず病院に電話した。もしかしたら成人式が始まるまでに回復するかな。なんてありもしないことを考えていた。
だが、予約が取れるのは早くても三時で、とっくに成人式なんて終わってる時間だった。
カレンダーを見ても今日が成人式であるのは明らかなのに、本当は今日じゃないんじゃないか。なんておかしくなった頭で考えながら私はまた眠りについた。
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