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ここはどこなの?
里は寒くて目を覚ました。
なんだか布団は薄っぺらくて体が痛い。掛布団もなんだか変な形で薄っぺらい。それに部屋がなんだかおかしい。自分のいつものベッドではなく部屋も障子ばりだし、いくつもの布団が自分の部屋のあちこちに畳まれている。
「いい加減起きて朝餉の準備を手伝っておくれよぉ」
下の階から声がする。
『朝餉?って朝ごはん?いつもママが作ってくれるのに。それに今のママの声じゃない。』
里は自分の着てるパジャマを見て、とりあえず、制服に着替えないと部活に遅刻しちゃう。と思った。
部屋を見渡すが制服は見当たらず、なんだか薄っぺらい着物が置いてある。
里は自分で着物なんて着られない。
どうしたらよいかわからずにウロウロと部屋の中を歩いていると
「サト、いい加減になさい。朝餉の支度は済んでしまったから早く着替えて降りてきな!」
きつい物言いの年配の着物の女性が部屋に入ってきた。
そして、里が着ているパジャマをジ~ッと見つめると、
「なんだい?その着物は。浴衣はどうしたんだい。」
「浴衣?お祭りの時に着る?」
「何を寝ぼけてんだい。いいよぉ、もう今日は寝ときなさい。」
「奥様にはサトは今日は具合が悪いと伝えておくから。」
里はまた薄っぺらい布団に押し戻された。
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