ふたりの子

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 25日の朝、ふたりはクリスマスツリーの根元に置かれたプレゼントの箱を見つけた。それを目にした途端、まるで悲鳴のような歓声を上げ、部屋の中を飛び回って喜んだ。  その日はモンテスキュー家の料理人が出張し、ご馳走を作ってくれた。  スモークサーモンとフォアグラを使った前菜。生牡蠣とエスカルゴ。腹の中に野菜やレバーをぱんぱんに詰め込んだ、七面鳥の丸焼き。そして人気のパティスリーで買った、輝くようなブッシュ・ド・ノエル。  足元がふわふわと浮いているみたいだった。  色鮮やかなクリスマスツリー。山のようなご馳走。星が瞬くような、子どもたちの笑い声――あまりに明るくあまりに幸福な光景に、気を抜いた途端、目の奥がじんと熱い。  ワインに顔を赤らめたアンリが、機嫌よく椅子から立ち上がる。 「よし、歌え、マリー=アンヌ!」  マリー=アンヌはソファに飛び乗り、得意げに胸の前で両手を組んだ。  声高らかに歌いはじめたのは、レ・ザンジュ・ダン・ノ・カンパーニュ(荒野の果てに)というフランスの伝統的なキャロルだった。  透き通る歌声が、暖炉に温められた部屋の中、光のように舞い上がる。 「マリー=アンヌはやっぱり歌が上手いな! 将来は歌手になれるぞ!」  アンリは手拍子を取りながら、晴れ渡る空のように笑う。オーギュストもマリー=アンヌの隣に飛び乗り、明るい歌声を重ねた。  ふと、暗い窓の外に目をやった。天使の羽のような雪片が、音もなく降りはじめている。 (――ねえ、オーギュ。どこかで俺たちを見ている? 俺にこんなに素敵な家族ができたよ。だからどうか早く帰ってきて。ずっとこの家で、みんな一緒に待っているから)  ルネは舞い降りる雪に祈りを乗せ、その歌声に加わった。   羊飼いたちよ、身を隠すのをやめよ   天使たちの合唱に加われ   汝らの優しき風笛もって    天の歌が終わることなく続くように   いと高き処、神に栄光あれ 《第三部 夜霧と灯 完》  
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