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散々だった。
ネザーランドドワーフウサギのなのは、アマミノクロウサギになりたい!!と切実な思いを話し掛けたら、腹を抱えて爆笑して、
「君はこんな身体でアマミノクロウサギになりたい!と思ってる?だぁ?
マジ受けるんですけどぉ!!」
と、馬鹿にされてしまったからだ。
そりゃそうだった。
ネザーランドドワーフは、アマミノクロウサギと比べても色黒でもなく、
しかもアマミノクロウサギは、耳が短い事でも有名だった。
「なのみたいに、耳が長くない。
どう考えもネザーランドドワーフウサギは、アマミノクロウサギに物理的にはなれない。
やっぱり私はどう転んでもネザーランドドワーフ種のウサギなんだ・・・」
ぴょん。ぴょん。ぴょん。ぴょん。
「やっぱりな。種別が違う。種別が違う。種別が・・・違う・・・」
ネザーランドドワーフウサギのなのは、無念の思いに耽ってブツブツと呟きながらフェリーに飛び乗り、適当な行き先のトラックに乗り・・・
荷台の片隅でふて寝して、そのままグーグーと眠りこけてしまった。
・・・・・・
・・・・・・
「あれぇ・・・?」
ネザーランドドワーフウサギのなのは、夢の中。
「ここはどこだろう・・・」
夢の中を彷徨うあかりは、果ての無いホワイトアウトの中を走り回っていた。
「何処?ここは何処なのよぉーーーー!!」
走っても走っても、白銀の雪原のだらけ。
ネザーランドドワーフウサギのあかりは、もう方向感覚を失いかけていた。
ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!
なのの雪を踏む足音だけが、雪原に響き渡っていた。
「何処なの?何処なの?何処なの?何処なの?ここは、何処なのよぉーーーーーー!!」
焦ったネザーランドドワーフウサギのなのは、段々心が取り乱して半べそをかいた。
「誰かぁーーーーーー!!居るのぉーーーーー!!ここは何処なのよぉーーーーーー!!」
ざっ!
一瞬、ネザーランドドワーフウサギのなのの目の前に黒い影が過り、長い耳に白い影の足音を捕らえた。
「き、君は・・・もしかしたら?!?」
あかりは、恐る恐るこっちを向いて見詰める黒い影に話しかけてみた。
「あれ?ウサギ?」
「うん。そうだよ。」
「ふーん。私、私・・・私はあなたになりたくて・・・」
・・・・・・
・・・・・・
びゅうううう~~~~~・・・
「さ・・・さぶぅーーーーーい!!!!!」
ネザーランドドワーフウサギのなのは、北の国の雪原のど真ん中に来ていた。
「確か、この辺に白いエゾユキウサギが居る筈なんだけど・・・あ!!居た!!白いウサギ!!すいませーん。」
「あ?誰?どなた?・・・あっ!!」
「『エゾユキウサギ』って誰ですかぁ?」
「あたいだよ?!って・・・って、あれ?ちっちゃいウサギが何しに来たの!!」
エゾユキウサギのハボは、その見知らぬ小さなウサギに向かって威嚇した。
「あ、あんたが『エゾユキウサギ』なの。」
「そうだよ!!それがどうしたんだよ?!」
エゾユキウサギのはふてぶてしく答えた。
・・・こ、ここに、エゾユキウサギが居る・・・!!
ネザーランドドワーフウサギのなのは、緊張でドキドキした。
「だから何しにきたの?!小さなウサギ!?」
エゾユキウサギのハボは、目の前の野良ウサギが邪魔そうに思えてイラっとした口調で言った。
「あのぉ~~~わたし、エゾユキウサギになりたいんですけどぉ。」
「はぁ?!!!」
~野良ウサギ、幻のウサギに憧れる~
~fin~
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