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じゃがいも
じゃがいもは太陽になりたかった。
ちっ。何でよりにもよって俺は土の中にいなきゃいけないんだよ。せっかくのこの筋肉質の身体。ごつごつとしていて骨太で、俺ほど男らしい男はいないというのに。
確かに皮はうっすら茶色だよ。見様によっては日に焼けているように見える。だけど、身は真っ白だ。
あぁ、俺も外に出て日焼けしたい。ってか、いっそのこと太陽になりたい。だって、太陽の威力ってすごいじゃん。土の中にいる俺にまで包み込むような温かさが伝わってくるんだからさ。
って、眠くなってきた。太陽って本当にすごいよ。こうして眠っている間に葉は光合成をして養分をたくわえ、俺はもっともっと筋骨隆々になる。鍛えることなくこの身体になれるのは嬉しいってことだ。
えっ? これ以上筋骨隆々になってどうするんだって? 決まってるだろ、ボディビルの大会に出て優勝するんだよ。
……え。こんなに白かったらかっこうがつかないって? 俺と相性のいいオリーブオイルを塗りたくってもだめ……?
そんなことを考えているうちに、じゃがいもは収穫されて肉じゃがになった。
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