00:始まり-後編-

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(僕の今日の運勢は最高なんだ。きっとこの中に、運命の相手がいるに違いない……!)  そう思い込むことで、自分を鼓舞している部分もあったのだろう。  これまで恋愛運が良かったことなどないのだから、今度こそを希望を持たなければ、アプリなんてやっていられない。  やがて、一日のうちに押せるだけのイイネを押し尽くしてしまった。  女性は無料なのだが、男性は課金をすることでさらにイイネを押せるようにもなるらしい。 「課金……はとりあえずいいか。まだシステムも把握しきれてないしな」  まだ始めたばかりのアプリだ、これからもっと有効的な使い方を見つけることもできるかもしれない。今日のところはこのまま様子を見よう。  そんな風に思っていた時、アプリからの通知が入った音がする。 (何だ? 運営から、登録のお礼でも来てるのか?)  不思議に思いながら閉じたばかりのアプリを開いてみると、驚くことに、一人の女性からイイネが返されていたのだ。  お互いにイイネを押し合うことで、マッチングが成立したことになる。  これによって、女性とチャットを利用して会話をすることができるようになるのだ。
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