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◇00. prologue
雨の日なんて。大嫌いだったはずなのに。……おかしいなぁ。と彼女は思う。
「お嬢さん。こんばんは。……綺麗な雨の音が聞こえますね」
そんなふうに言われるからますます彼女は彼のことが頭から離れなくなる。雨の音。自分の名を、褒めて貰えた――認めて貰えた気がするから。
けれども、照れ隠しで、彼女は敢えてつっけんどんに言うのだ。
「また会いましたね。……くるみさん、でしたっけ」勿論青年の名は覚えている。――これは。
雨が大嫌いだったはずの女の子が、愛するべきひととの出会いで自分に目覚め、愛を知る――真実の愛の物語。
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