◇02. 雨の日の君

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 それまでとはまるで世界が変わって見えた。雨音のなかで。たったひとつの……青年の行動をひとさししただけなのに。  渡された小さな傘を見つめる。なんだかとっても胸があったかかった。痛いくらいに切ない――。  いつまでも。――いつまでも。胸のなかに仕舞っておきたい光景だった。青年のやさしさと共に。  そしてそのやさしい雨の音はいつまでも雨音のなかで響き続けていた。  *
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