◇01. 図書館の君

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◇01. 図書館の君

 雨の日を好きになれるとっておきの方法がある。例えば……、  雨の日は図書館に行ってみる。MK駅は巨大なターミナル駅で、駅周辺で次々開発が進んでおり、駅からコンコースを突っ切って雨に濡れずに行ける巨大な図書館がある。  そこでは予約をすれば市内の本をすべて借りられる。映像化したばかり、有名な賞を受賞したばかりの人気の本なんかは予約が200人超えで、借りられる頃には80週を超えており、もはや、予約をしたのを忘れた頃にご用意が出来ましたとお知らせがやってくる。  だから、あまり、劇的に流行っている渦中の本は借りず、密かに人気が落ち着いた頃に借りるのが密やかな彼女の楽しみだ。
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