◇01. 図書館の君

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 作者名で絞ってひたすらその作者の本を読みまくるときもあれば、なんとなしに。立ち寄った図書館で膨大なる蔵書からひとつひとつ知らない作家の書籍を手に取って。イントロだけ読んで、合うか合わないかをその場で判断する。いい出会いがあれば胸がときめく。  既に。行きつけの図書館のひとつである、T図書館のハードカバーコーナーは制覇してしまった。となるとM図書館か。  作家読みをするのも楽しいが、図書館の本棚の前に立ち。ざぁっと背表紙を眺め、なんとなく――引っかかりを覚えるものを手に取る。それもまた一興。いつも通りそれをしようとしたがいかんせん、彼女は小柄だ。更には、行きつけのT図書館と違って本棚の高さが格段に高い。  うぅーん、と手を伸ばし、……ま、無理だな。諦めるかと……引き返そうとしたそのとき。 「こちらですかお嬢さん。よかったらどうぞ」
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